高齢化が進む中、判断を先送りにしている家庭が増えています
高齢化と人口減少が進む中、相続した実家をどうするか判断できないまま、時間だけが過ぎているという家庭が少なくないようです。
中古住宅の買取再販を手がける株式会社カチタスが2026年6月に実施した調査によると、相続登記の義務化を知っている人は70.0%、家族と実家について対話したことがある人は72.5%と、いずれも調査開始以来最も高い水準になっています。
一方で「今後3年以内に取る対策がまだわからない」と答えた人は25.5%、つまり4人に1人が、意識はあっても具体的な行動に移せていないという実態が明らかになっています。
(出典:株式会社カチタス「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」)
同調査では、家族と対話をしている人ほど対策の検討が進んでいる、という傾向も示されています。対話をしていない人は42.5%が「まだ対策がわからない」状態にとどまる一方、対話をしている人ではその割合が19.0%まで下がっています。
また、対話をしていない人が今後動くきっかけとして最も多かった回答は「あてはまるものはない」であり、そもそも何がきっかけになるのかすら見えていない状態にあることも示されています。
今回は、この「判断できずにいるお客様」が、実は工務店にとって新しい接点になり得るという点と、そこに不動産の知識がどう関わってくるのかを解説していきます。
「わからない」まま止まっているお客様に、何を提案できるか
相続した実家について「わからない」まま止まっているお客様に対して、工務店ができることは、実はそう多くありません。建築や改修の話をしようにも、そもそも「このまま住むのか」「手放すのか」という前提が決まっていなければ、提案のしようがないためです。
一方で、こうしたお客様が最終的に検討する選択肢は、住み継ぐ、リフォームする、建て替える、売却する、賃貸に出す、といった複数の方向に分かれます。この入り口の部分、つまり「まず何から考えればいいのか」を一緒に整理できる相手がいるかどうかが、お客様にとって最初の壁を越えるきっかけになります。
逆に言えば、この入り口の段階で相談できる相手がいなければ、お客様は「誰に聞けばいいのかわからない」まま、判断そのものを先送りにし続けてしまいます。建築の相談窓口だけでは、この入り口の広さをカバーしきれないというのが実情です。
不動産の知識があるからこそ、答えられる相談の場面
建築の相談だけでなく、不動産の知識も持っていることで、対応できる相談の幅は大きく広がります。実際に起こりうる場面をいくつか挙げてみます。
売却を検討している場合
「もう住む予定がないので手放したい」という相談です。
建築の知識があれば、建物の状態を見たうえで「解体して更地で売る」「リフォームして価値を上げてから売る」といった選択肢を、不動産の知識と組み合わせて提示できます。
単に「仲介します」と伝えるだけでなく、建物の状態を踏まえた現実的な選択肢を示せることが、他の不動産会社にはない強みになります。
賃貸に出したい場合
「手放すのは惜しいが、今は住む人がいない」というケースです。
賃貸に出すための最低限の改修と、見込める賃料のバランスを、建築側の視点も交えて説明できると、お客様にとって現実的な判断材料になります。
改修費用をかけすぎて賃料に見合わなくなる、という失敗を避けるためにも、建築とセットで考えられることの価値は大きいと言えます。
土地を複数の相続人で共有している場合
兄弟姉妹で実家を相続し、誰も住まないまま共有名義になっているケースも少なくありません。
このような場合、土地を分けて活用する、あるいは一括で売却して代金を分ける、といった選択肢の整理が必要になりますが、こうした相談の入り口として不動産の知識が役立ちます。
共有名義のまま放置される期間が長引くほど、後の話し合いはより複雑になりやすいため、早い段階で相談を受けられる存在であることには意味があります。
親との同居や二世帯化を検討している場合
「実家に親と同居することになったが、今の間取りでは難しい」という相談です。
建て替えや増築の提案はもちろんですが、その前提として、今の土地にどれくらいの規模の建物を建てられるか、実家を残しつつ隣接する土地を追加取得できないか、といった不動産側の検討も同時に必要になる場面です。
建築の提案と土地の情報が別々の窓口になっていると、お客様は同じ話を二度説明する手間を負うことになります。
こうした一つひとつの場面で、建築と不動産、両方の視点から選択肢を示せることは、住まい手にとって「ここに相談すれば、何とかなりそうだ」という安心感につながります。
家族の話し合いが生まれやすいのは、お盆と年末年始
実家の相続について、家族の間で話し合いが始まるきっかけには、ある程度の共通点があるようです。相続が発生した直後や、固定資産税の納税通知が届いた時など、何らかの負担やリスクを実感した瞬間に、初めて家族での会話が生まれるケースが多いと考えられます。
こうした傾向を踏まえると、家族全員が顔を合わせる機会そのものも、話し合いのきっかけとして見逃せません。実家の話は、兄弟や親族が同じ場に集まっていなければ切り出しにくいものです。普段は離れて暮らす家族が一堂に会するお盆や年末年始は、「そろそろ実家のことも話しておこうか」という話題が自然に出やすいタイミングだと言えそうです。
なお、この記事は2026年8月に公開しています。まさに今、家族が集まりやすいこの時期は、これまで判断を先送りにしていたお客様の中で、家族の話し合いが動き出しやすいタイミングでもあります。こうした節目に合わせて情報を届けられるかどうかが、相談の入り口に立てるかどうかを左右すると考えられます。
こうしたお客様との接点は、待っているだけでは生まれにくい
先ほどのデータが示すように、対策を先送りにしているお客様の多くは、「まだ緊急性を感じていない」状態にあります。つまり、こちらから積極的に情報を届けたり、相談しやすい窓口を用意したりしない限り、お客様の方から自然に相談に来てくれるとは限りません。
不動産の窓口を持っていると、こうしたお客様との最初の接点が生まれやすくなります。相続や税金の通知をきっかけに家族で話し合いが始まった時、「まず相談してみよう」と思ってもらえる存在になれるかどうかは、日頃からどんな窓口を用意しているかにかかっていると言えそうです。
また、こうした相談は一度きりで終わるものではありません。売却や賃貸の相談を受けたお客様が、その過程で「やっぱり自分たちで住み継ごう」と考え直すこともあれば、逆に「売却するつもりで相談したが、話しているうちに建て替えの方が良いと感じた」という展開もあり得ます。
窓口が建築だけ、あるいは不動産だけに限定されていると、こうした話の広がりを受け止めきれず、お客様は途中で別の相手を探すことになってしまいます。
まとめ
高齢化が進む中、相続した実家の扱いに悩みながらも、判断できずにいるお客様は少なくありません。
売却、賃貸、共有名義の整理、二世帯化など、相談の入り口は一つではなく、それぞれの場面で建築と不動産、両方の視点から選択肢を示せるかどうかが、お客様にとっての安心感につながります。
「わからない」状態のお客様に、最初に寄り添える存在になれるかどうかが、これからの工務店経営における一つの分かれ道になるのではないでしょうか。
こうした「顧客接点の広げ方」に関心をお持ちの場合は、物件王のサービス資料もあわせてご覧ください。







.jpeg&w=640&q=75)


